甘口の味わいで知られてきたドイツワイン。だが本来は繊細で伸びやかな酸味が魅力で、和食など素材を生かした料理によく合うという。その復権を掲げ専門に取り扱う、小さな商社が大阪府茨木市にある。「ヘレンベルガー・ホーフ」社長の山野高弘さん(52)は、SNSや動画投稿を駆使し「ドイツワイン王子」を名乗る、業界のちょっとした有名人だ。
――なぜドイツワインなんでしょう
ドイツワインの魅力にほれこんだ方が1982年、神戸市で小さな代理店を始めました。そこに協力したのが父で、後に2代目社長になりました。そのころは、フランスが赤なら、ドイツは白。肩を並べた時期もあるそうです。甘ければ甘いほど売れる時代でした。
ところがイタリアなど他の国が入ってきて、ドイツワインはシェアを減らしていきます。そこに95年、阪神大震災が起こり、自宅のある茨木市に拠点を移すことにしました。
そのころから、ドイツワインの復権が、私たちの目標になりました。本来ワインは食中酒が中心ですから、ドイツワインもかつては辛口が主体でした。第2次大戦後に甘口が広まりましたが、奥行きがなく、愛好家の支持を失っていました。本当の魅力である辛口を知ってもらいたい。本国でも辛口の復権を掲げる人たちが出始めた時期で、そんな生産地と直結した販売スタイルが出来ていきました。
――どういったものですか
突然方針を変えたので、酒屋さんにはなかなか相手にしてもらえませんでした。そこで、消費者と直接つながろうと、茨木の自宅を開放して年2回開く試飲会「ハウスメッセ」を始めました。「ぶどうの樹3本のオーナー」は、翌年実るブドウの樹をあらかじめ購入してもらい、できたワインをお届けするというシステムです。口コミで評判を広げ、酒屋さんにも注目してもらえるようになりました。
――もともとワインにお詳し…